2012年4月8日日曜日

コンサルタントからスポーツチーム経営者へ

今学期はかねてから興味のあったスポーツビジネスの授業を二つ受講している。その一つのSports Business Financingという授業の一回目に、NFL(National Football League)のSan Fransisco 49ersのCOO(Chef Operating Officer)であるParaag Maratheが来校した。



ParaagはスタンフォードGSBの卒業生でもあるが、何より特徴的なのは、彼の経歴である。彼は、UC Berkeleyの学部を卒業後、戦略コンサルティング会社Bain & Companyに2年半勤めた後、49ersに入社した。戦略コンサルティングという伝統的なビジネスキャリアを歩んでいた彼をAmerican Footballの世界に引き寄せたのは、彼のAmerican Footballに対する熱意に他ならない。Paraagは幼少の頃から49ersの大ファンで、欠かさず毎日49ersのニュースをチェックしていたという。自身はプレーヤーではなかったため、大好きなAmerican Footballの仕事をすることなど考えもしなかったようだが、ある日、何かの機会で、American Footballにチームの運営側として関与する機会があることに気付き、以降、スポーツビジネスに身を置くことを決心した。

大学在学中は、スポーツイベントのスポンサーを多く行っている金融機関に、スポーツイベント担当としてインターンし、その後、Bain & Companyに入社した後も、スポーツ用品メーカーのプロジェクトを担当する等、社内で「スポーツ業界担当」の地位を築いていた。そんな折、幸運にも、 彼は、NFLのチームから、選手のトレードに関する経済性の分析のプロジェクトを担当する機会に恵まれた。そのプロジェクトで、ジュニアの地位ながら高い パフォーマンスを披露したこともあり、その後、見事に、従来からの夢であった49ersへの入社を実現した。

Paraagは、初めはチーム運営のほんの一部であるサラリー・キャップと新人ドラフトに関する分析に関してのみ担当していたが、担当分野において高いパフォーマンスを発揮し、その後、選手との契約交渉も担当するようになり、最終的に、COOとしてビジネスのオペレーションを総括する立場にまでなった。American Footballのコーチ経験がなく、しかもインド人の血を引き継いでいる彼は、特に外部から職務に関する適性に関し疑いの目で見られることも少なくなかったようだ。しかし、彼は、American Footballに対する深い知識、熱意、そして何より担当業務における高いパフォーマンスを継続して発揮することにより、徐々に信頼を勝ち取っていった。


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「目先の損得に惑わされず、自分の好きなことを仕事として選択せよ。それが最終的にはキャリアの成功にもつながるものだ。」

MBAでよく聞く言葉であるが、 Paraagのキャリアは、まさにそれを体現している点で、非常に印象深かった。Paraagは、①NFLのチーム経営におけるSalary Capの戦略上の重要性、②選手との契約交渉の経験からの主たる学び、について極めて興味深い話をしてくれた。これらについては、別エントリーで共有したい。

今学期は、従来から書き綴ってきた投資・起業のテーマに加えて、興味を持つ人も多いであろうが公開情報の限られているスポーツビジネスについてもできる限りブログに書いていこうと思いますので、引き続きご愛読のほど宜しくお願いいたします。


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